人気ブログランキング |

スティルライフ, I follow the sun

nodakruco.exblog.jp
ブログトップ

2006年 05月 28日 ( 1 )

長雨、深夜、不精する読書

たとえば雨が降って降って降りつづけるときに
なぜか落ち着かないような、完成されたような気分になってしまい
わたしがうろうろ、本を広げる。
ざらりとした紙表紙で
ひらいた、まっしろでないページはやわらかく雨の湿気を吸い取って
こころなしか毛羽立っているような
……そんな手触りとものがたりをもとめて。

雨にふりこめられた空とわたし。
ほんとうは、かほちゃん、を求めていた
果歩。この上なくきちんとなめらかな態度で生クリームみたいに
せかいと自分とのあいだに線をひいて
なにごともないように暮らしているひと。

しかし長雨はわたしをとことん不精にするので
わたしは果歩のものがたり(ホーリー・ガーデン)をさがすかわりに
私、の物語、ウエハースの椅子、を
部屋のなかから拾い出してきて、そのページの紙をなぜてみたり
話のなかに思い出される景色やモチーフやなにかのことを
雨といっしょにざわざわと思いだす。
犬の目や、重たいタフタのカーテンや、妹の髪とか
なんとなく人生をリタイアしたみたいな空気に覆われた
私、のもっている暮らしについて。
恋人やべたべたに甘いバカンスや旺盛な食欲、空になっていくたくさんのワインの瓶、
そういうアクティブなものたちと無関係に
終わっている部分。
読むまでもないくらいに完璧な部分。

長続きしすぎた雨はかかえている子供の絶望みたいで
わたしはこの、やわらかく水気を吸うような紙でできた
しずかに、すでに終わっているような
これからもずっとずっと続いていくはずのどこかのマンションに住む私の人生を枕の横に置いて
雨をききながら天井をみている。

長雨はみんなを少しばかり剥き出しにする、とか
そんなことをかんがえながら…

くもって、灰色の物語たち。
by stelaro | 2006-05-28 04:43 | 点景、スロウデイズ、紅茶時間