■2004/10/08 Fri 13:41 金木犀
金木犀が咲いた
それは三日間ひっきりなしに雨が降っているときの話で
玄関から外に出たらどこかで知っている香りがとつぜんしてきて
ふりかえれば山吹色のこまかい花がすずなりになっている
そういうふうに今年も金木犀が咲いた
それはたしか日曜日のひるまのこと
もくせいのはな。
金木犀の咲く風景にはどうしていつも雨がふっているんだろうか
あのオレンジの甘いにおいに、ちいさくふっくらとした花に
つやつやのダークグリーンに、おしげなくふりおちる雨の
通っていた高校の昇降口の左側には大きな金木犀の木があった
(もうひとつの昇降口には朴の木が立っていた)
季節になると木のぜんたいが橙色にそまるようなたくさんの花が咲いて
むせるような甘いにおいがしていた
三年生の頃だったか剪定のはさみを入れてしまったせいで
こんもりとした地面のコンクリからつづく山のような橙には
もうお目にかかれないけれど、でもあれは私の知っているなかでは
いちばんの木だったと思う、地面をすっかり染めていた枯れつぼみ
ちいさいころ、いつか住む家の庭には
金木犀の木を植えるのだと、きめていた
340日くらいはわすれていることをひきずって咲く
においのかたまりが今年もそこでひらいた