■ 2007 /04/07 Sun 「暮れ花」
おそらくこの年、最初でさいごの桜見に出かける。
この広場には染井吉野だけでない、たくさんの種類が植わっているから
わたしみたいに時期がずれても、まだ、
桜花をながめることはできるので。
出会うのは、なんとなく、林檎の果肉をおもいだすような、
すこうしねじれた花びらと白さであって
しろはしろ、さらにみどりにかこまれて
そのほのあかさを照らしだされり
これがきっと、ひとの愛でる染井吉野、
文字で書くとなんてうつくしいんだろう?
そう、はるのかぜがまろやかな新緑の山からこちらへと、
やわらかく吹いてくるみたいに。
………。
うちに居るようになって、そうして神経がもどってきて思ったけれど
ほんとうはどの花もどの花も目にすることができるのは十日くらいなのに
この、さくら、というやさしい響きをもった木々だけを
みんながこぞって愛でに出かけるのは、どうしてなのだろう。
わたしの好きなうさぎみみのようなこぶしの花は
いちど、バスのなかから見かけたきり、
この手にも触れていないけれど。
さくら。