スティルライフ, I follow the sun

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雑文:真夜中コート

「 雨と林檎、そして音 」



こよみは梅雨の入り口にきた
降りはじめればおちる水は寸断なく
唐突に叩きつける雨音はまるでスコール
やぶれかけたしんぞうと息継ぎを
食い荒らしてわらう

両耳にねじこんだイヤホンから囁く
ひとまえでうたうのをやめた少女のこえ
それは、たとえば
みずうみや、やわらかな
雨上がりのそらをわたってきた空気に似ていて

くりかえされる荒々しさに紛れていた
あの碧のいろにただ惹かれ、両腕をさしだした日を
しろい砂とがらすのような波を見下ろしていた日を
陽をすかしてひかるメタセコイアの若葉を待つ日を

混沌としたキノウのプールから掬いだして
ぼくに、そっと、
さしだしてみせる

寸断なくまいにちは殴りつけ
ゆらぎながら、やぶれかけ
かたむいては目を閉じ
みうしなった、せきとめた涙の出口
さけびを、嘔吐を
そらぞらしい、わらいを

うっすらとぼくを被いつつむ
うすくうすく、たよりなくとも
今日、今夜、いまこのときも
とめられない、じかんのなかで
まぶされる棘、きりつけるちいさな傷が
あまりにふかく、ならないよう
あんまりたやすくみうしなえる、いつかの手触り
ひかりを、あざやかな色を
手がかりに

まだ
息をつづけることができる
まだ

エデンの蛇のささやきはつづく
紅い林檎をかじろうと陰に日向に伏流して
きまぐれな誘惑とぼくがともに
今、このときも息をしていて

きまぐれのようにこの壁を蹴れば
あなたの涙をみとどけることはできない
声をうけとることができない
消えないきずはあんまりたやすく

この境目で、まだぼくがうたう
こころをくいしばることを
がんじがらめの枷にして、ただ

せかいの終わるうたを、つづけて



水無月、雨夜、ma.i

プロジェクト「転校生」より
・きみにまほうをかけました
・エンドロール
・空中のダンス、ほうかご、ほか
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by stelaro | 2014-06-08 04:26 | コトノハ:呟