スティルライフ, I follow the sun

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「キッチン・ストーリー」

■2005/07/31 Sun 「キッチン・ストーリー」

過去に実際にあった研究から物語をおこした話。
独身男性の台所での動線を調査するために
キッチンのひとすみに、まるでテニスの審判が座るみたいな椅子をすえて
ひたすら調査対象の動きを観察しデータを取りつづける、
科せられた実験期間は6週間!

なんだそれ?と思わず指さしてしまいそうなことを
学術研究だからということで
しごくマジメにやっているすべてのおじさんたち
(そういえばこの話にはみごとにおじさんとおじいさんしか出てこない)。
本人たちがまじめなだけに、おかしみを誘ってわらってしまう。
愛らしくほのぼのとした笑い。

全体がそんなふうにできていて、ちょっとチャーミングで
少ししんみりして、要所要所でくすりと笑う。

ほんとうにやった実験でも、きっとおなじようなことが
あちこちで起こったんじゃないかな、
調査員+調査対象のおじさんおじいさん二人組が
科せられた規則……会話禁止、生活への干渉禁止、禁酒!などなど
そんなもろもろの「ほんとに6週間それでやる気なの?」という規則を
じわじわと破って、はからずも仲良くなってしまう様子。
そうして、そのことをいっしょけんめ隠してみたりする様子。

スカンジナビア半島の風俗になじみなくて
そのぶん、よくわからないところがたくさんあるのが悔しい。
きっと詳しい人が見たらもっとずっとおもしろいと思うから。
ノルウェーVSスウェーデンの「親しみぶかきけなしあいの日常」なんて
知らなかったよ、ほんとうに。
車線が右か左かでどうしてこんなにこだわるんだろうって
ふしぎにもおもった。それはものすごくふつうの感覚らしい。

北欧の景色はとてもキュートです。
郵便配達がそりでやってくることや
まんまるいフォルムの車、
トラクターが可愛い赤色なこととか
おみやげに持っていく、ぽわんとした木の馬の模様、そんなものが
白い雪景色のなかでぽかぽかとあたたかいこと。

帰るうちが定まるのなんて、とてもすてきなことだった。



data :
「キッチン・ストーリー」ベント・ハーメル監督脚本、2003年、ノルウェー・スウェーデン、95分
ゆっくり、ともだち
それは冬に北欧で起こった、
春のようなお話です。
ヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールシュトローム、ビョルン・フロベリー
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by stelaro | 2005-07-31 19:42 | コトノハ:cinema

「PicNic」

■ 2005/07/31 Sun 「PicNic」

岩井俊二の短めフィルム。ひとことで言って、
ひどい話。

なのに魅力を発してしまうから反則だと言うのです。

胡散臭い病院、胡散臭い笑顔、胡散臭い泣き顔のパパとママ、
それら嘘っぽくざんこくなものの満ちているせかいは
イメージばかりを焼きつけて、いってしまうばかり。
あっけらかんとありすぎて、ダイレクトすぎて
もう、
いいとかわるいとか考えられない。

べたべたと塗りたくる黒絵具、ひきちぎる羽根、
スケッチブックに記録され続ける毎晩の夢と
おんなじだけ繰り返される、きのうに転がっている悪夢。
白い天使、黒い天使、黒い悪魔、
ほらきみだって置いてった。塀の上から落ちたら何が起きる?
世界が、終わる?

中途半端に「続き」を期待させながらまとまる話が苦手、
体よく救った気持ちになってるんじゃないよ、と
ののしりたくなるようなしこりが残ってしまうから。
そういう点、僕はかなりすさんでいる気がするし
あたたかくもやさしくもない。
しかしここまで乱暴な場所なのならばいっそいいんじゃないか?と
自分に聞いてしまいたくなる酷薄さで
このフィルムはみんなを放り出すから。

やめてくれと呟いても
かたかたと回っていく。
変わらなくて大きいことが併せ持っている
情け容赦なさ、みたいなもの。
うつくしくてうつくしくてあかるくて大きくて
……なにが起きても日はのぼって「世界は終わらない」ということの
やすらかさと、むごさ。ひたすら巨大化していく極端な感覚。

きっと、空恐ろしいまでに刺激的なのだとしても
ノーカットのもともとの版を見てみたいなと思う。

こんなふうに世界が青黒くみえていたような日、
あんなふうに日差しがきれいでしかたなかった日、
ぼくが、ぼくだけしか見えなかった日、

きみのために世界は終わってくれることがありえるろうか。
或いは、きみの手で、世界の終わることが
ありえたろうか。



data :
「PicNic」岩井俊二脚本監督、1994年、日本、68分
Chara、浅野忠信、橋爪浩一
1996年ベルリン国際映画祭ベルリン新聞記者賞
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by stelaro | 2005-07-31 15:29 | コトノハ:cinema

「着信アリ」

■ 2005/07/30 Sat 「着信アリ」

ホラー映画はすごくきらいなのに
どうして見るんだろう。(T_T)

理由、1
兄がホラーを好きだから。

理由、2
夏だから。

理由、3
いっしょにバカやっていた友達一名が気がついたらホラー映画監督になってしまい
今までの何本かはTSUTAYAでレンタルになったりしているのだけど
パッケージをみて、やっぱりいやああああ、とめげていっぺんも見ていず
しかし、何のはずみか予算一億円(!)の全国公開映画を作ることになってしまい
で、その主演俳優さんを聞いたところわたしの大好きな役者さんで
見られないと、なんか、くやしいから。

……以上。

そういうわけで
来年の夏にむけて
ホラーに対するセットを作らねばなるまい、と
着信アリ、をみた管理人ですが
幸か不幸か
わたくしは携帯電話を持っていませんもので
不気味さがいくぶんかヒトゴトになるようで
ああやっぱり日常性とか身近なものがいちばん怖い、と
ひしひしと思いながら、、、、ダウンしました。

(おい。)

でも、
クライマックスシーンまでは、耐えたもの!
開始1時間半までは
きちんと見通したんだもの!

……我ながら変なことを誇っています。

つまり
「肝心の山場+話の落とし所は怖くて目をそむけていた(マンガを読んでいた)」。

(だめやん。)

リングなんかを半時間たたずに挫折した身としては
かなり進歩した冷静さだったのですが
(そうだその後半年、ほうら、井戸から手が~ネタで
あたしをいじめつづけたのはまさに彼の監督君だ、
恨んでやるからな、おぼえてろ……)
ほら恐怖ものってやっぱり
暗がり、少女、髪の毛、鏡、、、かな、と。
想像力をどれだけ刺激して持ち上げ落とすかだよな、と。
堤真一と柴崎コウのカップリングは成り立ちを考えると雑なんだけど
そこは別に考えなくてもいいのか、ホラーだから、とか
日本ならば雨と水。なぜか雨と水!
(我が家的恐怖ルール:水のある日本の夏はおそろしい。)
そして女子高生的都市伝説、いやーやっぱりこういう噂は女子高生?
など、見ながら笑っている余裕もあったので、これはいい傾向(?)だと。
そういう意味ではとても定石どおりのつくりだったのかも知れず。
そして呪いは回っていくんです、ふふふふふ、って
映画館の外まで恐怖を流出させようとすることとか。

しかしでもやっぱりクライマックスの畳みかけには耐えられず、
バタリ。

終了後、わくわく盛り上がる兄が
いつものようにストーリーについてあれこれ論じはじめたところで
(注:うちの兄はとにかく何事につけとりあえず論じることを好みます)
……結局、自分は話がよくわかってないやん。(T_T)
ということがよくわかりました。
柴崎コウの最後の隠し技がわからない=見てなかったから。(T_T)
話の構成上の落としどころなどは
はっきりくっきり判るだけに、
怖くて正視できないがために肝心の部分だけがそっくり判らないままなのは
とても、オモシロクナイ、、、

原作でも読もうかしら。
(ほとんど意地だなー)

そのあと、ディスカバリーからの
中継映像などをみて頭の中を紛らわせてみたり。
(映画館で鑑賞の道のりは遠そうです)

それで、とてもとても思ったんだけれど
NASAのスペースシャトル打ち上げは、
2年ぶりなのですよね。
じゃあ、国際宇宙ステーションとディスカバリーがドッキングしたときに
ハッチを開けたら向こうから「宇宙にようこそ!」って
笑顔で手を差し出してコリンズさんと握手したあの宇宙飛行士さんは
いつからあそこに住んでいたのですか。

( ̄_ ̄)?

デビュー三年目の山本監督のページはこちらです。>Love Illusion Pictures



data :
「着信アリ」三池崇史監督、2004年、日本、112分
来る。
3日後の自分からの着信。
残されたメッセージは死の予告。
あなたの携帯にも「死」が届く。
柴崎コウ、堤真一、吹石一恵

ホラー映画のコピーって、なんだか、けっこう長いですね、、、。
怖さは改行で助長されるんだよねえと色々言ってみる私はつまり怖がり。
ガンバレ自分。(ほんとうにへんなことでがんばってるにゃあ)
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by stelaro | 2005-07-30 19:32 | コトノハ:cinema

「オールド・ボーイ」

■ 2005/07/26 Tue 「オールド・ボーイ」

ハード、骨太、壮絶、
そんなふうな映画
すごく痛かった。

怖いの、とか、殴りあうの、とか、撃ち合うの、とか
そういう要素の映画はまったく好きじゃない私ですが
なんとなくこれは見たくてしかたがなかったんだ。
哀しい哀しい哀しいという
そのことがいつも見え隠れしていて
いちばんつよくて。

凍りついた笑い顔はなぜか見覚えがあってそらおそろしい。
血もナイフもこえて。
ただ泥酔する男だっただけの存在がどすぐろい光にかわった、
真正面から見つめたら獣だったけれど
でもそれはたしかに人間という名前の獣だったと思う。



data :
「オールド・ボーイ」パク・チャヌク監督、2003年、韓国、120分
原題 : OLD BOY
原作 : 「オールド・ボーイ」土屋ガロン、嶺岸信明
お前は誰だ!?なぜ俺を15年監禁した!?
チェ・ミンシク、ユ・ジテ、カン・ヘジョン
2004年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞
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by stelaro | 2005-07-26 13:23 | コトノハ:cinema

「ジョゼと虎と魚たち」

■ 2005/07/25 Mon 「ジョゼと虎と魚たち」

言動のいちいちが腑に落ちてしまうので
見ながら、なんだか泣きたいのか笑ったらいいのかわからなくて
結局さいごまで黙ってわらってしまった。
ものすごくぶさいくな顔をした「ジョゼ」の、いたいたしいような可愛らしさ。

こわれもん、という言葉は
ひどく残酷だけれどでも正しいと
そのことを知っている。
平等なんかではないということを、知っている。
決して大声じゃ語られないが、飲み込まれてゆくのだろうが
自分がいちばん知っているんじゃないかと思う
ひとなみ、ではありえないことも
そう扱われなくて当然であることも。

どこか際立ってとがっていってしまうひとりの生活は
平穏なくせに、おかしなところばかりで深くなる。
こどもっぽくしかなりえないのに。
とにかく、最初と最後はひとりなんだとか言うこととか
あっさりと心の底のほうで納得していること。

ぼんやり見ていただけのはずなのに
すうっとしみこんでしまったのか、
へんてこに繋がった夢をたくさんたくさんみた。
目蓋を腫らしながら起き上がって、なんだかまた
白いカーテンで隔てられた窓の向こうのことを
ぼんやりと考えた。

青い涙目のウサギをかかえて、可愛げのないまんま。
すとん、すとん、と音を立てるまな板と包丁。ひとかかえぶんのさいわい。
実際目の前にしたらすげえかわいくないよ、
「逃げた」……それはなりゆきとしてひどく正しいことだ。
そこから抜けられないことも。
しかし
海の底にはもう戻れないことも。

……「それもまた、いいかもしれん」。

つまり、そういうこと、なのです。



data :
「ジョゼと虎と魚たち」犬童一心監督、2003年、日本、116分
原作 : 「ジョゼと虎と魚たち」田辺聖子、角川文庫
ある日、恒夫は乳母車に乗った脚の不自由な少女と出会った
妻夫木聡、池脇千鶴、上野樹里、新井浩文
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by stelaro | 2005-07-25 23:08 | コトノハ:cinema

生成木綿、休日

■ 2005/07/23 Sat 「生成木綿、休日」

あかるすぎてまるで黒く見えるような
空と日差しがやってきていることに気がついて
なんだか急に、着たくなってしまった服。
思い立っても外に出る用事があるわけでないまま数日たって
とくに装う口実もなく、とうとうからだをくるんでしまった。
それだけに飽き足らず、重ねるタブリエ。

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ひだを押さえつければ、よりふわふわとした生地のきなり
たくさんの布地につつまれているこの感じが
とてもとても、好き。
たぶん、与えられるのはくるみこまれる安心。

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……土足ではありません。
まだ、おろしていないストラップシューズ、で
今はいているものを履きつぶしたら代替わりさせようと思っている新しい靴。
臙脂の色が少しつよくてストラップも細い、
好きな形の靴。そうそう見つけられるものでないので
思わず買い置いて、しまっておいてあります。

みじか丈のくつしたにストラップシューズの足元を見下ろすと
どうしてこんなに頼りないような気持ちになるのだろう。
身軽で、正しくて、不釣り合い、
誓って言うけれど、こどものころにこんな靴をはいたことはなかった。

ワンピース+タブリエ+ドロワーズ=すべて月の王冠
ペチコートスカート=ケティ(?)
ペンダント=ジェーンマープル
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by stelaro | 2005-07-23 14:43 | moon afternoon

「カラスの飼育」

■ 2005/07/22 Fri 「カラスの飼育」

なんとまあ、不思議な瞳をしたひとでしょう。

透徹している、ということばを思い出すと
ときどきそれは、少女のまなざしになると思う。
あたたかくない、けれどつめたいわけではなくて
ただただ、まっすぐに、みひらかれていて。

善とか悪とかにわかれきる前にたゆとうているかなしみのように。
物語自体もまた、交錯してはてしない
難解といえば難解?
……けれど目の前にひろがるのが紛れもないリアルなのだから
ただ、そのくりかえしのなかをするすると歩いてゆくしかない
黒い髪、黒い瞳。

階段をすべり歩いていく寝巻きすがたをみて思った、
あ、バレリーナの子だ。
……どこまでもするりとした姿だから
ほそくてまっすぐな身体だから
まだ、身につけていないかもしれない肉体で、
けれど、地上には降りていて。

くりかえし流れる音楽がざらついてチャーミングで好き。
そういえば、地中海のあたりからずっと、ミハスの街からバスに乗って
岩ばかりの山のなかを何時間もずっとぼんやり
うつらうつら外を眺めていたとき
……こんなふうな、ざらざらとして魅力的な音が
ずっと聴こえていたっけ。
異国音。

 「駅の前で子供みたいに泣くの あなたが行ってしまうから」

どこまででがほんとうで、どこまでがでたらめ?
そんな区別もいらず……なぜって、すべてがほんとうで
そのただ中で揺られていくことだけだから。
銃口をふらふらと構え、熊さんのハグをもとめ、夢をみて。
「まだ起きているの?」「眠たくないの」
「死にたいの?」「死んじゃえ」……どこにもなんら毒はない、ただ
なにもかもが鋭い。鋭くてたまらない。

ミルクの中に毒を入れても
翌朝は、笑顔でむかえることができる生きもの。

きっと、そんなふうでした。
たぶんみんな、そんなふうでした。



data :
「カラスの飼育」カルロス・サウラ監督、1975年、スペイン、107分
アナ・トレント、ジュラルディン・チャップリン
1976年カンヌ映画祭審査員特別賞

……ひゃあ今気がついたけどこの映画って私より古いん?古いん?
なんだかショックです、、、どうしてかショック。(T_T)
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by stelaro | 2005-07-22 15:07 | コトノハ:cinema

初めと、盛りと、おしまいと 3

■ 2005/07/21 Thu 「初めと、盛りと、おしまいと 3」


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はじめてを言うこれからの顔
きっぱりとした濃紫

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つん、ととがったその螺旋にも

また明日
会うというそれだけの約束をたたみこんで

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by stelaro | 2005-07-21 17:48 | フォトノヲト

初めと、盛りと、おしまいと 2

□ 2005/07/21 Thu 「初めと、盛りと、おしまいと 2」


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やわらいでいくんだ

ひかりをうける、ほころびる

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指先くらいに棘のばす

のびあがるために身につけたこと

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らしくない色?
見るばかりです

遠くから……落ちる。

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ひららかなきみを好きでした

もう、ずいぶん前からの話です

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by stelaro | 2005-07-21 17:04 | フォトノヲト

初めと、盛りと、おしまいと 1

■ 2005/07/21 Thu 「初めと、盛りと、おしまいと 1」


終わりになるものでした。

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ざわめきながら最後の言の葉

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出会ったなら、揺れる
ゆくものを、いとしむ

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うなだれて、しずかに
たちのぼる空気で今年も老いた

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……さよなら。

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by stelaro | 2005-07-21 16:41 | フォトノヲト