スティルライフ, I follow the sun

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くもりのち、雨に木犀

「橙飴」


あめのなかに橙いろ

金木犀はいつも、そぼ降る水のなかで
ちひさな花をひらいてゆく
そう思う記憶の通り……今年もまた
会えたね。

ミリ単位にちいさくて、鈴なりのくせに葉蔭にかくれた
ほんの少しの厚みをもったやわらかな花と甘い匂いで
ぼくの足を止める……いたるところで
十月と秋と深まりのはじまりを
甘やかすぎるくらいの手で、ひろげていくから

くもりぞら、
てのひらに小さなあかるい橙を
少し少しずつ落としていく
はじめて好きになったひとの家にもこの花が咲いてた…そんなことを
ぼんやり思い出してはまた仕舞い

ぼくの小さい手に積もる傷つきやすい橙
こんもりと触れる秋のことばだ

部屋にひろげたら、次にドアをあければ
甘い匂いが香ったことを
あなたになんと伝えたら?

……。

ぼくの秋が、またひとつ、
すきとほった瓶のなかで、凍る仕度をしています

くもりぞらの日に
ひとりの庭で
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by stelaro | 2007-10-13 04:25 | コトノハ:呟