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せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」

■2007/09/01 Sat 「せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」」


急にどこか美術館へゆきたくなって
でもあれやこれやと調べてみても、ぴんとくるものがなく
ドウシヨウカナと呟いたところで、みつけたこちらの展覧会。
きっとよのなかでは有名だったのだろう、
わたしはなんにも知らなかったのだけど……

東京都現代美術館、ゆくのははじめて。
いろいろなハプニングに遭いつつも
連れと一緒にたどりつきました・・・「ジブリの絵職人 男鹿和雄展」

せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」_b0048645_8464549.jpg


ポスターはトトロのすまいであり、
たぶん本気でここに住みたいと思った人が
世の中にどれだけいるでしょうか
……と、いうだけで
せかいをつくったと思うのだ。この、男鹿さん、というひとは。
寝床にはちゃんとトトロがまるいおなかで寝ている……すごくイイ!と思う。

せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」_b0048645_8471112.jpg


撮影OKプレートは展示のほんとうに最後のほうになって現れたのだけれど
この不可思議キャラクターは、かなりあちこちに散在していたの。
きっとひそかに名前がついているのにちがいないの。
帰ってから相棒さんに写真を見せたら、まっくろくろすけ、と言ったけれど
個人的にはそうではないと思うのです。ススワタリではなくて
なにかもっと、陽気なオバケ的なやつなんだと勝手に決めている

せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」_b0048645_8483323.jpg


そんなわけでトトロが登場した、、、写真ではよくわからないけれども
3メートルくらいあるふかふかぬいぐるみトトロ。
これは、もしかして
「武蔵野ジブリ美術館の受付トトロ」ではないだろうか、とちょっと思った。
だから、今、あの「走り回れる宮崎映画ワールド」をのぞいたら
門のところのトトロの家には

「ただいまでかけちゅう トトロ」

など、など、札がぶらさがっていたら
それはとてもいいなあ、、、と思ってしまった。

ほら、ちゃんと、どんぐりの包みを持っているんです。

せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」_b0048645_849566.jpg


サツキとメイ(とお父さん)の家。
原画を見るなかで気がついたのだけれど、この家の正面は
魔女の宅急便のキキの家にわりあいよく似ているんですね……。
時計台のある町ではなくて、実家のほうです。
大きな赤い屋根の張り出しがあって、その奥に住まいがあって……
昭和家屋と洋風のちがいはあるけれど、よく似ている。

キキがひとり立ちする前に住んでいた家、
映画では一瞬しか映らないんだけれど、庭に花や薬草がいっぱいの
「コキリの家」。
……コキリはキキのお母さんの名前。(ちなみにお父さんはオキノさん)
そちらも原画があって、すごくよかったです。
お母さんの猫のメメもしっかり登場していたということを初めて知った!
わたしはとてもうれしかった。
原作の「魔女の宅急便」も、とても好きだから。

せかいをたしかに創るひと―「男鹿和雄展」_b0048645_8493364.jpg


おまけ。

おりがみでトトロがつくれます(!!)
もうこのころは閉館間近で走るようにみていて、
それでも折り方と色紙ともらってきましたが
まだ、つくっていません……かなり複雑そう。でもこのトトロはきょとりことしていて
となりにやってきたらいいだろうなあ、と思ってしまう……
うまく折りたい。(おりがみはどうやら得意でない……?)

改めて、私、ジブリ作品をものすごく見ていたのだなあ、と再確認しました。
背景担当の方なので、人物はほとんど皆無なのだけれど
分からないところがほとんどなくて、
ああ、あのシーンでこんな台詞があったよね、と
つぎつぎ、口からついで出てくるがために。

そして、全体をみてため息をつくのは、その筆のこまかさやわらかさ、で
といっても、精緻な絵と言うわけではないと思う。
ざっざっとひかれた筆の跡がそのまま空になり森になり
一枚一枚の葉や花になっていった……のが、なんとなくわかる。
せかいのつくりかた。

雲が流れている。
日が落ちる、あるいはのぼる。
何百枚何千枚のせかいを、このひとは
くりかえしくりかえし
つくったんだ、と思う。
映像になる前に、ストーリーになるまえに。
……それはまた、気が遠くなるような、こころと筆の積み重ね。

そして私は水彩絵具が好きなのだなと、今更ながらにして、思った。
男鹿さんの仕事場を再現しているコーナーがあったのだけれど
近づくと、香るのです。
絵の具の匂い。
なつかしさよりもさきに、すでに身体ごと包まれてしまうような気持ち。
絵の具に埋まるようにして一心に絵を描いていたときがあったんだと
そのときのことをぐぐっと引っ張り出されてきたような思いで。

時間の都合でゆっくりあそびながら見ることがかなわなかったのが残念でしたが
昔の作品、SFものや、最近のフリーになってからの画集の原画を見ることができて
90分待ちでも走るようにでも行けてよかったよ、と
ライトアップされた美術館をふりかえりつつ、思いました。

絵を描きたいココロをすこし
思い出した日です。
by stelaro | 2007-09-01 19:44 | arts+music