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スティルライフ, I follow the sun

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きみへの宛名のない手紙。

たくさんのフレーズをずっと抱えながら
生きておりましたし
そのことに疑問も持たずにおりました。
きみ、は
世界のどこを探してもいないことを納得してもおりました。

だからぼくの描くところの肖像画には顔がなく
恋をしても誰もの顔をすぐ忘れ
ただ一週間、七日間くらい
焼かれるような独りに堪えればたいていのことが
もとどおりに運ぶようになってしまうのです。

そのことをぼくは知っているから
たいていのことで躓きはしても
あっさりとかんたんに絶望はしても
叩きのめされたと感じることは
ほんとうは、なかったのでありました。

じわじわと蝕まれるのは苦痛だと、ただ落ちかかる日をみながら考えて
それを何べんかくりかえしたころには、もう何もよくわからなくなっている
そういうことだろうと思います。

宛名をつけようとしてもつけられない手紙を
今までったい、いくたびくらい書いたでしょう。
ぼやけた空。降ってくる星。ふりはらった手。
ただ触れないくらいのところからじっとじっとあごを上げて
いつでもみていたまなざしの先のほうに
どれくらいことばは積もったでしょう。

送るぼくにもわからないくらい、ことばはつもってそうしてあふれて
しかたなくかたちを結ばざるを得ず
この姿はいやだと、ふるふると身じろぎをして訴える。
ぼくのなかで揺れながらきみへのことばは
ひたすらに訴えつづける。

ただ、その場所へしずかに、もどってゆけば、よいことです。

きみへの宛名のない手紙。_b0048645_205524.jpg

by stelaro | 2005-12-11 02:06 | コトノハ:呟