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ps.パレード

ある、耳からひきずりだした記憶の、引用。




パレード


パレードの知らせが届いた
少年は窓辺で待った

テーブルのコップの水が波立ちはじめたとき
少年は思い出した

本で見た愉快な小さなパレードのことを

窓ガラスがぴきぴきひび割れはじめたとき
少年は思い出した

父から聞いた長い長いおごそかなパレードのことを

庭のプールがざぶんと水を放り出したとき
少年は思い出した

立ちすくみ一歩も動けなくなったパレードのことを

街がくずれてあらわになった地平線から
やがて土埃とともにすがたをあらわした
パレードは

しんだひととこれからうまれてくるひとたちで
いっぱいだった

彼らの背丈はゆうに10メートルを越えていたが
それがパッパラ無数のラッパを吹きならしながら
跳ねるように行進するので
大地の揺れはますますはげしくなった

また彼らが連れている鼻のみじかい象のような動物が
背中にあいた穴からずぼっと炎のかたまりを吹き上げると
そのたびに空はあざやかに色を変えるのだった

巨大なパレードはいつ果てるともなく続いていたが
実のところ少年はそのパレードをみることができなかった

彼はもうずっと前から目をとじていた

死んでいるのではない
眠っているのだ
揺れる大地の上をなだれおちてゆく瓦礫といっしょにはじかれ
転がりながら




ぼくの好きなうただ
誰が書いたのか
知らないけれど、好きなうただ……

パレード。
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by stelaro | 2005-03-07 00:01 | ps & p.s.