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「金子功のワンピース絵本」

■ 2005/02/24 Thu 「金子功のワンピース絵本」

なんというか夢のような本であることよなあ、と
開いてみて思う、金子功の絵本シリーズ
今では絶版だそうで、たまたま手に入れることができたもの
はじめの森の中で撮影されたカラーグラビア(としか呼びたくない!)が
もうめちゃめちゃかわいくて、笑っちゃった
白のブラウス、赤のギンガムチェック、
スカートの裾の刺繍
防寒にひっかけるそっけなさが可愛いジャンパー

もうこのひとのつくる服はきっとあのとおり
ユメ、というものを満載にして贈るもので
自分のためでもそれは“贈るもの”にちがいないです

デザイナー金子功についてわたしは相変わらずほとんど無知なのだが
(憧れ、というのはたくさんあっても実際触れられるかは別なので)
このひとをすごくいいな、と思ったのは実ははじめは江國香織の本の中だった
「十五歳の残像」
江國香織と各界のおとこのひと(かつて少年だった人たち)との対談集
ほかにもいろんなひとが出ているのだけど(そうして各人各様におもしろいのだけど)
そのなかに金子功氏とのものが入っていた

江國香織自身は、たぶんカネコ服とはかなり縁遠いひとだと思う
どの写真をみても映像をみても、
装飾というものがあんまりない感じのひと
私のワードローブはほとんど白と黒と灰色で構成されている、と
ずいぶん昔のエッセイの中に書いてあったけれど
今でもほんとにその通りなのじゃないかと、思うほど
黒の服なんてほとんど持っていない私とは対極のようだ

その江國香織がもうほんとうにはじめのほうに繰り出した質問
「ご自分の服を着ているひとを街中で見かけるとどう思いますか」
それへの答えで、私はこの知らない金子功、というひとを、
すごくいい!と思った
なぜって
「もうね、すごく嬉しくなっちゃうの。」
物陰からこっそり後をみてうふふふふと笑っちゃいたくなるくらい。

ねえ、なんだかとってもいいでしょう?

街中でかわいい女の子とかすてきなお洋服のひとを見つけると
すごおくゴキゲンになってしまえる
ただ単純に、うれしくてたのしい
かわいいものが好きなかわいいひとが好きで
そういう人が元気にかわいくしているのが好きで好きで
……そういう、しごくかんたんなところ

この本の中でまた金子氏は
いろいろ素敵に思うものはたくさんあるんだけれど
でも、僕には可愛いものしか作れないし、それでいいと思ってる、と
あっさり言っていて、ああそういうことよなあと、思う
時代遅れでもたぶん
指さされてもたぶん
そういうふうにつくられたお洋服はきっと
とっても愛されちゃってしかたない



今日の本:
「金子功のワンピース絵本」金子功、1983年、文化出版局、1500円
by stelaro | 2005-02-24 16:50 | コトノハ:ブックレビュウ