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「聖なる嘘つき-その名はジェイコブ-」

■2004/12/04 sat 16:42 「聖なる嘘つき-その名はジェイコブ-」

第二次世界大戦、ナチスドイツの猛威をふるう土地で
あるユダヤ人ゲットー内での出来事をつづる
ひとつのファンタジー
主演は、ロビン・ウィリアムス

主演がこのひとと聞いたときに
「ああすんごくいい話にちがいない」と信じ込んでしまえばきっと裏切られる
すくなくともここには、いつものように
人生がシビアでもそうでなくても物語を笑いでみたして
終わるときにはなんだか人生が少しいいもののように思える
あの、ロビン・ウィリアムスのすがたはあまりなかった
それでは、重くて濃い戦争映画に仕上がったのか?
そんなこともない。

冒頭にこんなせりふ、

ある占い師がヒトラーにこう言った
「あなたはユダヤの祝日に死ぬ」
ヒトラーは占い師にたずねた
「なぜそんなことが判る?」
占い師は答えた
「あなたが死んだ日は、ユダヤの祝日になるからだ」

ユダヤ人がつねになくさなかったブラック・ジョークの精神

この映画をみたすのは、ハッピーな笑いというよりは
生きている人がどうしても織りなしてしまう喜劇、の要素で
背景は(こう言うとおかしいけれど)ちゃんと暗い
それでも、笑う
登場人物はぜんぜん笑わなくても
見ているぼくたちは、笑う

嫌な感じの笑いじゃなくて、悲劇のなかにもコミカル
そういう描き方をきちんとしていて
ユダヤ人の子どもをなりゆきでかくまったおじさん、という
なんか「バティニョールおじさん」とそっくりの身の上に陥ったジェイコブだけれど
彼は、あの惣菜屋のおっちゃんよりも
もっともっと情けなくて、カッコわるくて、かなしくって
それでも、ぼくはつらくて泣きそうになったりはしない
そのかわりに笑うことができる

ファンタジーだと思う
上質の、ファンタジー
魔法をかけるとしたら確かに
それがかかっている、まるで
「ロビン・ウィリアムスの出演作のようだ」。

彼のあの独特のほほえみが、笑顔以外のすごいものを
語っているのをぼくはこの映画でちゃんとみた
奥にあったのは、あのいつものひたすらあたたかな愛じゃなく
もっと別の、ふかくてどうしようもないなにかで
でもそれはたぶんやっぱり、愛で

いつものような完全なハッピーエンドではなくても
でもやっぱり、人生はすこしいいものに思えるかもしれない



data :
「聖なる嘘つき-その名はジェイコブ-」ピーター・カソヴィッツ監督、1999年、アメリカ、120分
原題 : JAKOB THE LIAR
笑ってごらん、生命をかけて
ロビン・ウィリアムズ、ボブ・バラバン、ハナ・テイラー・ゴードン

※この感想は12月7日に書きました
※「ミニパラ」にはデータが残っていないため、タイトルを検索してあれこれつぎはぎました
by stelaro | 2004-12-04 16:42 | コトノハ:cinema